Friday, February 21, 2014

関本幸治 (Koji Sekimoto) Exhibition Information - 羽のない妖精 - @ TRAUMARIS|SPACE



2009年に第一回目が実施された恵比寿映像祭が今年で六回となり、2月4日からすでに開催されている。
地域の文化施設及びネットワークが連携して実現するプログラムとして 「地域連携プログラム」 というものがあって、それに参加している渋谷区恵比寿にあるアートスペースは、今回、関本幸治をフィーチャーし、3月2日まで同スペースで個展を開催している。
ドリーミーで幻想的ながらどうしようもない違和を感じさせる関本幸治の世界は相変わらず健在。
私は地方在住者ゆえ会場に足を運ぶことができず、モニター越しにその世界を楽しませてもらっているだけなのだけど、会場までのアクセスが容易だという方は、是非、直にその世界をご覧になって頂きたい。


関本幸治 展「羽のない妖精」

会期:2014年2月4日(水)~3月2日(日)
会場:TRAUMARIS|SPACE(恵比寿NADiff apart 3F)


TRAUMARIS|SPACEは、例年の通り「第6回恵比寿映像祭」
(東京都写真美術館 主催)に地域連携プログラムとして参加致します。

関本幸治は、女性の人形とその衣装や背景を、自身の手で丹念に制作し、
それらを設えたセットを撮影します。写真と映像によって、若い女性の
微かに揺らぐ感情や曖昧なシチュエーションを、短編小説のように端正
に表現してきました。
黄金町の一角にある彼のスタジオはさながら小さな写真館です。
断片的な物語の想像から始まるその制作過程は数ヶ月を要しますが、関
本にとっては「イメージすること、作ること」が独りの楽しみであり、
「あいかわらず馬鹿っぽい、密かな『ムヒムヒ感』を味わっています」
(関本)と、その安定した心境を語ります。

近年、男性の視点で若い女性の理想の姿を再現した等身大の人形といえ
ば、日本が誇る精緻な技術を駆使した「ラブドール」が思い浮かびます。
独身者のための道具に過ぎなかったかつてのダッチワイフとは全く次元
の異なる、生身の人間を超えた完璧な容姿をもち、心から癒しを与えて
くれるライフパートナーとして好事家に愛される「ラブドール」。その
成立ちには、関本の制作の原点を思わせるヒントがあります。

作家1人の楽しみにより息を吹き込まれ、やがて虚実の境界を侵蝕する
ほどの人形の存在感は、戯曲「マイ・フェア・レディ」の由来でもある
ギリシャ神話の「ピグマリオン」伝説を彷彿させます。
関本がつくりだす 個性的な顔立ちと複雑な表情をもつ人形と、彼女を取
り巻く日常の小さなドラマは、映像というフレームのなかで無限の広が
りをもちはじめるのです。

本展では未発表作品3点をご紹介します。
無数のキャンドルが灯る部屋の、テーブルの下の秘密基地で、心地よさ
げに開放感を味わうひと。
鏡に向かって、上手に笑う練習を繰り返すひと。
まだ暗い早朝の森にたたずむ、羽のない妖精のようなひと。
これは作家が滞在したフィンランドや国内の森で、苔や羊歯やきのこが
群生する生態系から感じた「ムーミンにでてくるニョロニョロのような、
奇妙な生き物がいても不思議のない」(関本)雰囲気を再現しようと試
みた作品です。
いずれも、古ぼけた壁紙を張った仮設の壁面に仕込まれたモニターやフ
レームで展示され、鏡や窓の外を覗き込む仕草を通して、時間や次元を
遡り、記憶を甦らせる「虚実皮膜」(関本)をつくりだそうとしていま
す。
またその情景は、関本が日頃スタジオのセットで作品を撮影していると
きの「ムヒムヒ感」(関本)を再現するインスタレーションともなって
います。

作家は今年2014年のヨコハマトリエンナーレにて、BankARTでの企画
展にも参加予定です。

TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター
住吉智恵


場所: TRAUMARIS|SPACE
〒: 150-0013
住所: 渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F 
Tel: 03-6408-5522 
URL: http://www.traumaris.jp
Mail: info@traumaris.jp (担当:室、住吉)

開廊時間: 月曜休 火~土16:00-24:00(日曜14:00-22:00)

SEKIMOTO of KOJI

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